前回のおさらい
第1回 抵抗とコイルの直列接続 電流値をエクセルで計算してグラフ化してみる
前回は、直列接続した抵抗とコイルに流れる電流を求めて、エクセルでグラフ化してみました。
今回はそのデータを使って、スイッチOFF時にコイルに発生する起電力を求めてみたいと思います。
コイルに発生する起電力
コイルに発生する電圧は、時間当たりの電流変化率が大きいほど、大きくなります。
$$V = – L* \frac{di}{dt}・・・(1)$$
右辺にマイナスがついているのは、電流の変化を妨げる方向に電圧が発生するためです。
さて、いま検討に使っている回路は、以下の回路です。

この回路を、スイッチON時とOFF時に分解すると以下になります。

前回の結果から、スイッチがONしてから約90us後にはほぼ定常状態になっていて、電流値は1.978Aでした。
この状態でスイッチをOFFにします。
OFFにすると、スイッチの抵抗が1MΩになるように設定しています。
スイッチの抵抗が大きくなったので、電流は減少を始めます。
しかし、コイルは電流の変化を妨げる方向に電圧を発生させます。
その結果、コイルとスイッチ(抵抗)の間の電圧が跳ね上がり、その電圧値は式(1)になります。
前回の結果を式(1)に代入してグラフ化してみました。

スイッチをOFFにして抵抗値が大きくなったタイミングで、コイルとスイッチ(抵抗)の間の電圧が跳ね上がりました。
この区間を拡大してみます。

時間的にはわずかな時間ですが、電圧値は最大で18kVを超える結果になりました。
ちなみに、エクセルでの計算時、時間は10psステップで計算しています。
つまり、式(1)のdtは10psで計算しています。
このステップをもっと細かい時間にすれば、もっと電圧値は大きくなると思います。
実際の回路だったら、電圧の最大定格を超えて電子部品は破壊しますね。
なので、やはりインダクタンス負荷を扱う際には保護回路の検討が必須です。
LTspiceでシミュレーション
確認のためにLTspiceでシミュレーションしてみました。
全体図とスイッチOFF時の拡大図です。


電圧は1.1MVを超えました。
波形の形も、エクセルでの計算値とはあまり一致しませんね。
コイルの起電力を正確に求めるのは難しそうです。