LTspiceで昇圧DC/DCコンバータの動作を理解する

LTspice

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DC/DCコンバータをLTspiceでシミュレーションしてみたのですが、前回は降圧型のDC/DCコンバータだったので、今回は昇圧型に挑戦してみました。

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昇圧の原理

降圧DC/DCコンバータは高い入力電圧から低い出力電圧を生成しますが、昇圧DC/DCコンバータは低い入力電圧から高い出力電圧を生成します。

昇圧は、コイルの逆起電力を利用します。

上の図で説明すると、
まずトランジスタM1をONさせてコイルL1に電流を流します。(黄色矢印の経路)
これでコイルL1にエネルギーが溜まります。

この後、トランジスタM1をOFFさせると、コイルに逆起電力が発生します。
これを逆流防止ダイオードD1を経由して、コンデンサC1にエネルギーを溜めることで、高い出力電圧を生成します。(茶色矢印の経路)
抵抗R1は負荷です。

逆流防止ダイオードD1は、昇圧DC/DCコンバータでは入力電圧より出力電圧の方が高いので、出力側から入力側への逆流防止のために入れています。

という感じで、制御回路がトランジスタM1を繰り返しON/OFFさせることでコイルに逆起電力を発生させて、それをコンデンサC1に溜めることで昇圧を行っている(と私は理解しました)。

コイルの逆起電力については、別の記事も参照してください。

目標仕様

5Vの入力電圧から10Vの出力電圧を生成したいと思います。

シミュレーション回路

難しいのはやはりトランジスタをON/OFFする制御回路です。

今回のシミュレーション回路では、出力電圧が9V以下の時は500kHzの矩形波でトランジスタをON/OFFさせます。

出力電圧が9Vを超えたら、500kHzの三角波と出力電圧をコンパレータで比較し、トランジスタをON/OFFさせます。

その結果、完成した回路は以下です。

分圧抵抗

出力電圧を1/10に分圧します。

低電圧検出

コンパレータと0.9Vの電源を使って、出力電圧が9V以上かを判定します。

9V以下の場合にはコンパレータがLowを出力し、9Vを超えたらHighを出力します。

出力電圧と三角波の比較器

分圧した出力電圧と500kHzの三角波をコンパレータで比較します。

三角波は0.9Vと1Vの間で遷移します。三角波生成器を設計する能力がないので電源部品で代用しています。

セレクタ

出力電圧が9V以下の時は、500kHzの矩形波をトランジスタに出力します。

9Vを超えてる時は、分圧した出力電圧と500kHz三角波のコンパレータ比較結果をトランジスタに出力します。

コイル

コイルは22uHにしました。

シミュレーション結果

負荷抵抗を10Ωにした時の、入力電圧と出力電圧のシミュレーション結果です。

出力電圧の拡大図です。

10Vより若干低い電圧になりました。

リップル電圧はPeak to Peakで200mVくらいですね。

次に出力電圧と制御回路の内部信号を見てみました。

出力電圧が9Vを超えると定電圧検出のコンパレータがLowからHighに遷移し、トランジスタのゲート波形が切り替わりました。
切り替わり後はトランジスタのON時間が長くなりました。

その時にトランジスタのドレインには14Aくらいの大電流が流れていました。

まとめ

今回も良く理解していない部品を使ってシミュレーションしてみました。

昇圧型のDC/DCコンバータはトランジスタ制御が難しいです。

今回で回路ではやっていないですが、トランジスタやコイルが熱で壊れないように制御したり、過電圧や過電流の保護回路入れたりと、複雑な制御が必要そうです。

でも、コイルの逆起電力で昇圧できることは確認できたので良かったです。

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この本のAppendixに「PWM制御昇圧DC-DCコンバータのSPICEシミュレーション」について記載があったので、これをマネすればもう少し良い特性の回路設計ができるかも。

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